君が代は千代に八千代に/高橋源一郎

このあいだ借りた5冊のうち3冊は高橋源一郎だったので、次に読んだのも高橋源一郎だった。どうにもできない。
この「君が代は千代に八千代に」も前回の「ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ」と同じく短編集の体裁だけど、でもひとつひとつの話が薄く重なっているような気がした。「ミヤザワケンジ」は宮沢賢治の作品とも重なりつつ高橋源一郎の作品同士も触れあっている感じがしたので、それに比べれば「君が代」はシンプルなつながりだと思う、が、どれもおおよそセックスの話かグロだったし、それは読んでいて気持ち良くはなかった。
でもtwitterでだいたいエロpostや変態postが飛び交うし、だいたい人間はエロかグロが誰もが避けられない=誰もが参加出来る共通の話題か。「それは本の中/おまえのTL/おまえの周囲だけだろ自分には関係ない」というのは見ないようにしているだけで、お前だってエロでありグロなんだよ。って思って、読むの気持ち悪いのに読まされてた。本に。
表題はよくわからない。君が代は今エログロですけど千代に八千代に続きますように、かな。



抜き書き:
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 幼児はたいていのことがわかっている。(「Mama told me」)
「甘いね、ボス。誰がシナリオ書いてると思ってんの?北川悦吏子だぜ。ヒロインが死んで終わりに決まってんじゃん」(「殺しのライセンス」)
「火星人?火星人なんかいるもんか」おれはいった。
「じゃあ、金星人は?」
「それもいないね」
「なあ、もしかしたら、おれたちってほんとうはもういないんじゃないか?」(「SF」)
言葉を疑うことを知らない。他人がしゃべっている言葉を自分が書いている詩と同じようなものだと思っちまう。中学生の頃からまるで進歩してないんだ。どうしようもない。女はたいていそうだ。特になにかを書いている女は。その中でも、詩を書く女ときたら。(「愛と結婚の幻想」)
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北川脚本家はちょっと流行ってるしそのタイミングででてきたから抜き書きした。

エログロを読むのが苦しい程度に子どもなんだけど大人になれそうにない。久しぶりだからかな。表題作とか、エロもグロもどっちもない話もあったしそれが砂漠のオアシス的に作用したせいかするする読めたので、たぶん面白かったんだとおもう。